エフェメラルタトゥーは本当に消える?しくみと、入れる前に知りたいこと
エフェメラルタトゥーは、針で肌の中に入れるタトゥーです。インクの粒が体の中で分解されるように作られていて、会社は2026年10月の公式サイトで「95%の人が2年以内に消える」と説明しています。ただ、この目安はこれまで何度も変わり、3年近く残った人の例も報じられています。会社自身も、消える時期や消え方を保証していません。入れるなら、消えなかったときも好きでいられるかどうかで決めるのが、いちばん確かです。
この記事の内容(6)
針で入れて、体の中で分解されるインク
エフェメラルは、ニューヨーク大学で化学工学を学んでいた学生たちが始めた会社です。2021年3月にニューヨークのブルックリンで最初のスタジオを開き、「消えるように作ったタトゥー」として話題になりました。
インクは、医療用の縫合糸と同じ、体に吸収される樹脂(ポリマー)の小さな粒に、食品や化粧品に使われる色素を入れたものです。会社の説明では、2年ほどかけて小さな粒と水、二酸化炭素に分解されていきます。ふつうのタトゥーのインクは粒が大きく、体が外に出せないので、肌に残り続けます。
入れ方は、ふつうのタトゥーと変わりません。アーティストがタトゥーマシンの針で、肌の中にインクを入れます。色は、2026年10月の時点で黒だけです。
| ジャグア | エフェメラル | ふつうのタトゥー | |
|---|---|---|---|
| 入れ方 | 塗って、肌の表面を染める | 針で、肌の中に入れる | 針で、肌の中に入れる |
| 消えるまで | 8〜15日ほど | 会社の説明では、95%の人が2年以内。長くて3年 | 消えない |
| 色 | 青みのある黒 | 黒だけ | いろいろ |
がんの放射線治療で、照射する位置を肌に示す目印にこのインクを使う研究も、アメリカの病院グループ Henry Ford Health と進められています(2023年発表)。
消える時期の目安は、9〜15か月から「長くて3年」へ
この数年で、会社が示す「消えるまで」の目安は、少しずつ長くなりました。
| いつ | できごと |
|---|---|
| 2021年3月 | ブルックリンに最初のスタジオ。「9〜15か月で消える」と説明 |
| 2023年2月 | 「1年で消える」という言い方をやめる。3年を過ぎても残ったときなどに返金する保証に変える |
| 2023年9月 | アメリカのスタジオ8つを閉める。理由は家賃の高さと、資金集めの難しさ |
| 2024年 | 改良したインクを、提携するアーティストに出す形で再開 |
| 2026年10月 | 公式サイトは「95%の人が2年以内に消える」「長くて3年」 |
3年たっても消えていない人がいる
アメリカの公共ラジオ NPR は2025年4月、2022年ごろに入れたタトゥーが、3年ほどたっても見えている人たちを取材しました。会社は取材に対して、初期のお客さんの一部をがっかりさせたことを認めています。そのうえで、消える時期のばらつきが小さくなるように、インクを改良したと答えました。
「消えるはず」と思って入れたものが残っていると、気持ちの置きどころに困ります。
返金の保証も、いまは見当たりません。2025年の報道では、会社のサイトや SNS から保証の案内が消えていて、スタジオへの卸売りに切り替えたあとに入れた人は対象外とされています。2026年10月の公式サイトの免責事項には、消えるまでの時間や消え方、アレルギー、長い目で見た安全性について、何も保証しないと書かれています。
デザインによっても、消え方は変わります。会社は、濃い部分は薄い部分より消えるのが遅いと説明しています。濃淡のあるデザインだと、消える途中で、濃いところだけが残る時期があるということです。
レーザーで早く消す確かな方法はまだない
公式サイトによると、レーザーは永久のインクを消すために作られた方法です。エフェメラルの消え方を早める安全で効果のある方法は、レーザーも含めて、まだないとしています。会社の CEO は2025年の Elle の取材に、レーザーを試したが効かなかった、熱ではなく水で分解される素材だから、と話しています。
レーザーでどこまで消せるかを確かめた研究は、私たちが調べた範囲では見つかりませんでした。残ったときにどうするかは、入れる前にアーティストに聞いておけます。ふつうのタトゥーの消し方は「タトゥー除去」の記事にまとめています。
日本でも提携スタジオで入れられる
エフェメラルの公式サイトには日本語版があります。2026年10月の時点で、スタジオの一覧には東京・大阪・京都・愛知・三重・埼玉・福岡・沖縄・愛媛の9都府県が並んでいます。施術するのは、会社のインクを扱う提携アーティストです。料金は公式サイトに載っていないので、スタジオに聞くことになります。
インクについて、会社は「化粧品で、ほかのタトゥーのインクと同じく、FDA(アメリカの食品医薬品局)の審査や承認は受けていない」と書いています。会社が健康な人を対象に行った臨床研究は2023年に終わっていますが、2026年10月の時点で結果はまだ公開されていません。アレルギーが心配な人や肌の病気がある人は、入れる前に皮膚科で相談できます。
迷ったら、消えなくても好きでいられるかで決める
エフェメラルが気になるのは、「一生ものは、まだ少し怖い」という気持ちからだと思います。その気持ちは自然なものです。ただ、いまわかっていることを並べると、消える時期は当てにしすぎないほうがよさそうです。入れる前に、次のことを考えてみてください。
- 消えなかったとしても、そのデザインと場所で困らないか
- 濃淡の少ない、線が中心のデザインにできるか
- アーティストに、いつのインクか、残ったときにどう相談できるかを聞いたか
場所や大きさを試したいだけなら、針を使わないジャグアでも下見ができます。2週間ほどで消えるもので、くわしくは「消えるタトゥー3種のちがい」に。このサイトの消えるタトゥーの作品でも、仕上がりの雰囲気をつかめます。
よくある質問
- エフェメラルタトゥーは何年で消えますか?
- 会社は2026年10月の公式サイトで「95%の人が2年以内」「長くて3年」と説明しています。ただ、消える時期や消え方は保証しておらず、3年近く残った人の例も報じられています。
- 痛みやケアは、ふつうのタトゥーと同じ?
- 針で肌の中にインクを入れるので、入れ方はふつうのタトゥーと同じです。会社はケアに、ハイドロコロイドの絆創膏と香りのない保湿剤をすすめ、少なくとも1か月はプールや海を避けるように書いています。痛みのめやすは「タトゥーの痛み」、ケアは「アフターケア」の記事に。
- 日本でも入れられますか?
- 公式サイトの日本語版には、9都府県のスタジオが載っています(2026年10月)。施術するのは提携アーティストで、料金はスタジオごとに聞くことになります。
調べ方と出典(12件)
2026年10月に、エフェメラル社の公式サイト(日本語版の仕組み・免責事項・アーティストのページ)、ClinicalTrials.gov の登録、報道(AFP・NPR・Elle・NewBeauty・Highsnobiety・Miami New Times)を確かめて書きました。会社の数字は時期やページによってちがうため、年と出どころを添えています。日本での料金、保証のくわしい条件、残ったタトゥーをレーザーで消せるかは、確かな資料が見つからなかったため書いていません。
- エフェメラル 公式サイト「仕組み」(日本語版、2026年10月に確認)
- エフェメラル 公式サイト「免責事項」(日本語版、2026年10月に確認)
- エフェメラル 公式サイト「アーティスト」(日本語版、2026年10月に確認)
- NYU Tandon「Disappearing tattoo ink」(2016年5月10日)
- AFP「New York startup aims to leave a mark with ephemeral tattoos」(TechXplore 掲載、2021年4月27日)
- NewBeauty 保証の変更についての記事(2023年3月16日)
- Highsnobiety スタジオの閉店についての記事(2023年9月)
- Elle「I Got a Made-to-Fade Tattoo That Never Faded」(AOL 掲載、2025年3月18日)
- NPR「They were promised made-to-fade tattoos, which haven't really faded」(2025年4月22日)
- Miami New Times 提携アーティストでの再開についての記事(2025年8月1日)
- ClinicalTrials.gov NCT05877833(エフェメラル社の臨床研究、2026年10月に確認)
- Henry Ford Health 放射線治療の目印の共同研究の発表(2023年5月17日)