タトゥーがあるとMRI・CTは受けられる?献血・健康診断の決まり

MRI は、タトゥーがあっても受けられることがほとんどです。まれに熱さやチクチクした感じが出るので、検査の前に伝えておくことが大事です。CT やレントゲン、ふつうの健康診断は、ほぼいつもどおり受けられます。献血は、入れてから6か月は控えるよう日本赤十字社が決めています。6か月を過ぎれば、タトゥーは献血できない理由になりません。
この記事の内容(8)
MRI で熱くなるのはまれなこと
MRI は、強い磁石と電波で体の中を写す検査です。タトゥーの色素には、鉄などの金属をふくむものがあります。病院の説明書によると、その部分が熱くなったり、チクチクしたりすることがあります。まれに、やけどや図柄の色の変化が起こる可能性もある、とも書かれています。
どのくらい起こるのかは、次のような研究で調べられています。
| 研究 | 調べた人 | 起きたこと |
|---|---|---|
| ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(2019年) | タトゥーのある330人。MRI は計585回 | 1人が、手首のタトゥーに温かさとつっぱる感じを訴えた。検査を止め、24時間以内に自然に治まった |
| アメリカのアンケート(2002年) | アートメイクをしたあとに MRI を受けた135人 | 2人が、一時的なチクチク・ヒリヒリを感じた。重いものはなかった |
大きなタトゥーのデータは、まだ少ない
ロンドンの研究の対象は、タトゥーが体の5%以下で、いちばん長いところが20 cm まで、頭・首にはない人でした。背中一面のような大きなものや、顔・首のタトゥーについては、この研究からは何とも言えません。
国内でも、国立病院機構 名古屋医療センターのように、説明書を用意して、タトゥーやアートメイクのある人の MRI を行っている病院があります。
聞かれなくても、MRI の前に伝えたいこと
MRI の問診票で、入れ墨やアートメイクがあるかを聞く病院があります。聞かれなくても、次のことを伝えてください。色素に鉄が入っているかどうかは、見ただけでは分からないからです。
- タトゥーのある場所と、だいたいの大きさ
- 小さいものや、昔入れたものもふくめて、いくつあるか
- 眉やアイラインのアートメイク
- レーザーなどで消したタトゥー(色素がリンパ節に残っていることがあるため。消し方は「タトゥー除去とカバーアップ」へ)
受けるかどうかは、医師と決める
タトゥーがあっても、MRI をやめるかどうかを自分だけで決めなくて大丈夫です。MRI で分かることと、起こりうることを比べて、受けるかどうかは医師と相談して決めます。説明を受けたうえで、同意書にサインをする病院もあります。
検査中に、タトゥーのところが熱い、チクチクすると感じたら、すぐに知らせてください。軽ければ冷やしながら続けることもあり、強ければ検査を止める、と病院の説明書にあります。MRI を受けられないときは、CT やエコーなどで代わりにできることもあります。ただ、MRI でしか分からないこともあります。
CT・レントゲン・エコーはほぼいつもどおり
欧州皮膚科学会(EADV)の患者向けの案内(2025年)は、X 線の検査もエコーも、ほとんどの場合タトゥーの影響を受けないとしています。CT も、X 線を使う検査です。
ただ、まれにタトゥーが画像に影のように写ることがあります。また、タトゥーの色素は近くのリンパ節に運ばれることがあり、マンモグラフィや PET 検査で、病気の影とまぎらわしく見える場合があります。胸・背中・二の腕にタトゥーがあるなら、ひとこと伝えておくと、画像を読む医師が見分けやすくなります。
会社の健康診断にMRI は入っていない
法律で決まっている会社の定期健康診断(労働安全衛生規則 第44条)に、MRI はふくまれていません。画像の検査は胸部エックス線だけです。項目は次のとおりです。
- 問診、身長・体重・腹囲、視力・聴力、血圧
- 胸部エックス線(年齢などによって省けることがある)
- 血液検査(貧血・肝機能・脂質・血糖)、尿検査
- 心電図
人間ドックで脳ドックなど MRI のあるコースを選ぶときは、申し込みの段階でタトゥーのことを伝えられます。当日になって慌てずにすみます。
献血を控えるのは入れてから6か月
日本赤十字社は、献血を控えてほしい人のひとつに「6カ月以内にいれずみを入れた方」を挙げています。この期間は、肝炎などのウイルスに感染している可能性を否定できないため、という説明です。
どのスタジオで入れたかは問われません。6か月以内に入れた人に、みな同じようにお願いしている決まりです。献血を習慣にしている人には、半年は長く感じるかもしれません。入れる日は、次の献血の予定と並べて決めると迷いません。
ピアスにも、穴をあけた方法ごとに期間が決まっています。
| あてはまる人 | 献血を控える期間 |
|---|---|
| 6か月以内に、いれずみを入れた | 6か月 |
| 耳たぶやおへそなどに、医療機関や使い捨ての器具でピアスの穴をあけた | 最低1か月 |
| 友人どうしで安全ピンや針を共用するなどして、穴をあけた | 6か月 |
| 唇・口の中・鼻など、粘膜をつらぬくピアスを付けている | 付けているあいだは控える。外したあとも、上の期間に加えて最低3日 |
献血には、体調や飲んでいる薬など、ほかにも条件があります。当日の問診で確かめてもらえます。
これから入れる人は、検査や献血の予定も頭のすみに
持病などで MRI を定期的に受けている人は、入れる前に主治医に相談してみてください。次の検査の準備がしやすくなります。どこに入れるか迷っているときは、「どこに入れる?」も読んでみてください。生命保険の告知が気になる人は「生命保険とタトゥー」へ。
よくある質問
- タトゥーがあると、一生献血できないの?
- いいえ。日本赤十字社が控えてほしいとしているのは、入れてから6か月以内の人です。6か月を過ぎれば、タトゥーは献血の条件に関わらなくなります。体調などほかの条件は、当日の問診で確かめます。
- 色によって、MRI の影響はちがいますか?
- 欧州皮膚科学会の案内は、黒や青など暗い色のインクに、電磁気的な性質をもつものがあるとしています。ただ、色素に鉄が入っているかは見ただけでは分かりません。色にかかわらず伝えてください。
- MRI でタトゥーの色が変わることは?
- 病院の説明書には、まれに図柄の色や形が変わる可能性がある、と書かれています。どのくらいの頻度かを示すデータは、今回の調べでは見つかりませんでした。気になるときは、検査の前に技師や医師に聞いてみてください。
- アートメイクも伝えたほうがいいですか?
- はい。アートメイクも肌に色素を入れるので、MRI の問診では入れ墨と同じように聞かれます。目のまわりのアートメイクは、目の MRI で画像が乱れる原因になることもあります。
調べ方と出典(9件)
2026年10月に、日本赤十字社の献血の基準、MRI とタトゥーについての査読つきの論文2本、国内の病院の MRI の説明書、欧州皮膚科学会の患者向けの案内、厚生労働省の健康診断の資料を確かめて書きました。大きなタトゥーや顔・首のタトゥーで MRI の影響がどれくらいかを示すデータ、MRI で色が変わる頻度のデータは見つからなかったため、書いていません。医療の助言ではありません。検査については、医師や診療放射線技師に相談してください。
- 日本赤十字社 献血をご遠慮いただく場合
- 日本赤十字社6カ月以内にいれずみを入れた方
- 日本赤十字社6カ月以内にピアスの穴をあけた、またはピアスを付けた方
- Callaghan ほか「MRI を受ける人のタトゥーの安全性」New England Journal of Medicine(2019年)
- Tope・Shellock「MRI とアートメイク」Journal of Magnetic Resonance Imaging(2002年)
- 国立病院機構 名古屋医療センター MRI 検査の説明書
- 長崎原爆病院(日本赤十字社)MRI 検査の説明
- 欧州皮膚科学会(EADV)Tattoos and radiological imaging(2025年)
- 厚生労働省 労働安全衛生法に基づく健康診断を実施しましょう