タトゥーがあると生命保険・医療保険に入れない?告知のきまりと確かめ方

タトゥーがあるだけで保険に入れない、と決まっているわけではありません。法律では、告知するのは保険会社が質問したことです。タトゥーを質問に入れているかどうかを公式に説明している保険会社は、調べたかぎり見つかりませんでした。聞かれたことには事実のとおりに答え、気になることは申し込む前に保険会社に聞いてみてください。
この記事の内容(6)
告知するのは、保険会社に聞かれたこと
生命保険や医療保険に入るとき、健康状態などを保険会社に伝えることを「告知」といいます。保険法では、告知するのは「保険会社が告知を求めた事項」とされています(生命保険は37条、医療保険などは66条)。告知書や申し込み画面の質問に、事実のとおりに答えるしくみです。
告知は、告知書や申し込み画面、保険会社が指定した医師に対して行います。営業の人や代理店に口で話しただけでは告知したことにならない、と生命保険文化センターは説明しています。MRI や献血など、健康の面の決まりは「MRI・献血・健康診断」にまとめています。
うそや大きな不注意があると、契約を解除されることも
わざと、または大きな不注意で事実を伝えなかったり、事実とちがうことを答えたりすると、保険会社は契約を解除できます(保険法55条・84条)。ただし、営業の人が告知をじゃましたり、事実を書かないようにすすめたりした場合は、保険会社は原則として解除できない、と保険法は決めています(55条2項)。
生命保険文化センターの解説では、解除などは次のように扱われます。
- 解除できる期間: 法律では契約から5年。業界では、責任開始日から2年に短くしています
- 2年を過ぎても: その間に保険金を払う理由が起きていれば、解除されることがあります
- 保険金: 告知しなかったことと病気などに関係があれば、支払われません
- 内容が重いとき: 詐欺として契約が取り消され、2年を過ぎても支払われないことがあります
保険会社がタトゥーを聞くかは、公式にはわからない
「タトゥーがあると保険に入れない」という話は、ネットでよく見かけます。ただ、2026年10月に調べたかぎり、告知書でタトゥーを聞いている、あるいはタトゥーを理由に断る、と公式のページで説明している保険会社は見つかりませんでした。
ネットの記事の多くは「保険会社によってちがう」「小さければ入れることもある」と書いています。けれど、どの会社のどの資料にもとづくのかは示されていません。保険の営業経験者の話として紹介する記事もありますが、名前を伏せた話で、確かめようがありません。
調べるほど、かえって不安になった人もいるかもしれません。ここからは、確かめられたことだけを並べます。
反社会的勢力のきまりが問うのは、入れ墨ではなく関わり
タトゥーと保険の話でよく持ち出されるのが、反社会的勢力(暴力団など)を契約から外すきまりです。生命保険協会は2011年6月にこのきまり(暴力団排除条項)を入れることを決め、約款の例を各社に示しました。各社は2012年4月ごろに約款を改めています。
たとえばライフネット生命が引き受ける保険のパンフレットでは、契約者・被保険者・受取人のだれかが反社会的勢力にあたると認められると、重大事由として契約が解除されます。保険金も支払われません。
ここで問われているのは、反社会的勢力にあたるか、関わりがあるか、です。この記事で確かめた資料には、入れ墨やタトゥーという言葉は出てきませんでした。ネットの記事は「入れ墨=反社会的勢力というイメージがあるから」と結びつけていますが、それは書き手の見立てです。入れ墨がなぜ後ろ暗く見られてきたか、年代で見られ方がどうちがうかは、「タトゥーと入れ墨のちがい」にまとめています。
住宅ローンで入る団信にも告知がある
住宅ローンを借りるときに入る団体信用生命保険(団信)も、生命保険の一つです。入るときは、健康状態などを告知します。タトゥーがローンや団信の審査に影響する、と説明している銀行や公的機関の情報は見つかりませんでした。
団信に入れないときの道もあります。住宅金融支援機構のフラット35(買取型)は、団信に入るかどうかを選べます。健康などの理由で団信に入らない人も借りられて、その場合の金利は0.2%下がります。
いちばん確かなのは、申し込む前に聞いてみること
気になるなら、申し込む前に保険会社の窓口や代理店に聞いてみてください。たずねておきたいのは、次のようなことです。
- タトゥーについて、告知書で質問しているか
- 質問していない場合でも、引き受けの判断に関わるか
- 答えをメールや書面など、あとで見返せる形でもらえるか
保険会社とのやりとりで困ったときは、生命保険協会の「生命保険相談所」で相談できます。
よくある質問
- 告知書にタトゥーの質問がなければ、書かなくていい?
- 保険法では、告知するのは保険会社が告知を求めた事項とされています(37条・66条)。迷うときは、申し込む前に保険会社に聞いてみてください。
- 小さいタトゥーなら入れますか?
- 大きさで扱いを分けている、と公式に説明している保険会社は見つかりませんでした。「小さければ大丈夫」という話も、ネットの記事では根拠が示されていません。気になるときは、保険会社に直接たずねるのが早道です。
- 保険に入ったあとでタトゥーを入れたら?
- 告知は、契約を結ぶときのものです(保険法37条)。契約したあとの変化を知らせる必要があるかは、「ご契約のしおり・約款」で確かめられます。
調べ方と出典(7件)
2026年10月に、保険法の条文(e-Gov 法令検索)、生命保険文化センターの解説、保険会社のパンフレット、反社会的勢力のきまりを扱った論文(判決の引用を含む)、銀行によるフラット35の説明を確かめて書きました。タトゥーを告知や引き受けでどう扱うかを公式に説明した保険会社のページは見つからず、ネットの記事も出典を示していなかったため、入れる・入れないの判断は書いていません。