タトゥーは安さと近さで選んでいい?作品でアーティストを選ぶ理由

安いことや近いことは、決め手のひとつにしてかまいません。ただ、その前に作品を見てください。日本では、タトゥーを彫るのに医師免許は要らず、彫り師になるための国の資格も見当たりません。腕も衛生の考え方も、人によってちがいます。入れたあとに直すのは、最初に入れるより手間もお金もかかります。だからこそ、最初の1人は作品で選ぶのがいちばんの近道です。
この記事の内容(6)
日本では、資格がなくてもタトゥーを彫れる
きっかけは、大阪府吹田市のタトゥーショップで彫っていた彫り師が、医師免許なしに施術したとして医師法違反に問われた事件です。1審は罰金15万円としましたが、2018年11月の大阪高等裁判所は無罪を言い渡しました。
2020年9月16日、最高裁判所は検察の上告を退け、医師ではない彫り師のタトゥーの施術は、医師法でいう「医業」に当たらないと判断しました。タトゥーには美術的な意味があり、必要なのは医学とは別の知識と技術だ、という理由です。この決定で、医師免許がなくてもタトゥーを彫れることがはっきりしました。
一方で、決定は、施術にともなう衛生上の危険は、医師に任せる以外の方法で防ぐほかない、とも書いています。裁判官の1人は補足意見で、規制が必要なら新しい法律で定めるべきだと述べました。2026年10月の時点で、彫り師だけを対象にした国の資格や免許の制度は見当たりませんでした。
衛生の決まりとしては、2019年にできた日本タトゥーイスト協会がガイドラインを出しています。針は一人ずつ使い捨てにして使い回さない、手袋は着けるたびに新しいものにする、施術台や道具はフィルムで覆う、といった内容です。ただ、これは協会の指針で、法律ではありません。どこまで守っているかは、スタジオしだいです。

安い理由は聞けば教えてもらえる
安いこと自体が悪いわけではありません。ただ、料金だけを並べて比べると、見えにくくなるちがいがあります。たとえば、色が抜けたときに無料で直してもらえる期間は、「期限なし」のスタジオもあれば、数か月のスタジオもあります(くわしくは「タッチアップ」の記事へ)。
時間の長さも、料金と結びついています。1時間あたりの料金で見積もるスタジオでは、同じデザインでも、かかる時間で金額が変わります。最低料金だけで比べず、入れたいデザインでの見積もりを聞いてみると、ちがいが見えてきます。
相場より目立って安いときは、理由を聞いてみてください。気をつかう必要はありません。はっきり答えてくれるかどうかも、選ぶときの手がかりになります。聞いておきたいのは、たとえば次のようなことです。
- 針は一人ずつ使い捨てにしているか
- 料金に、デザイン代や色が抜けたときの直しが入っているか
- 入れたい大きさだと、何時間くらいかかるか
- 同じ作風の作品を、ほかにも見せてもらえるか
入れたあとに直すのは最初より大変
タトゥーは一生残るように作られていて、消すのは難しい。アメリカ食品医薬品局(FDA)はそう書いています。除去では傷あとが残ったり、消しきれなかったりすることもあります。レーザーは何か月もかけて何回も通う治療で、日本では保険がききません(「タトゥー除去とカバーアップ」の記事へ)。
上から別の絵を彫って隠すカバーアップにも、決まりごとがあります。元より一回り以上大きくなることが多く、料金は通常の約2倍、とするスタジオがあります(Tattoo Studio Ray's)。完全に隠すなら、2回りほど大きく色の濃いデザインを選ぶ必要がある、と案内するスタジオもあります(INK RAW TATTOO)。
仕上がりが思っていたのとちがうと、鏡を見るたびに気持ちが沈むかもしれません。ほかのスタジオで入れたタトゥーの続きやアレンジを受けつけるスタジオもあるので(墨龍)、そうなっても手はあります。それでも、最初の1回で納得できるのがいちばんです。
作品の写真にその人の腕がいちばん出る
いまは、アーティストの作品を SNS やターティストで、入れる前にたくさん見られます。フォロワーの数より、作品の中身を見てみてください。
見るときは、1枚の出来ばえより、続けて見たときのそろい方に目を向けると、その人の得意なことがわかります。
写真は、光の当て方や加工で見え方が変わります。気になる1枚があったら、同じ人のほかの作品も続けて見てみてください。どの写真でも線が安定していれば、それがその人の実力です。
- 自分が入れたい作風の作品が、何枚も続いているか
- 線の太さがそろっていて、輪郭がにじんでいないか
- 入れたい部位や大きさの作品があるか
- 入れてから時間がたった、治ったあとの写真も載っているか
作風・衛生・相談の対応など、選ぶときの見方は「タトゥースタジオの選び方」の記事にまとめています。
近さで比べるのは作品で候補をしぼったあと
近さを気にするのは、まちがいではありません。大きいデザインは何回かに分けて通うので、通える距離かどうかは大切です。タッチアップで、もう一度足を運ぶこともあります。
順番を入れかえてみるのがコツです。まず作品で「この人に頼みたい」と思える候補を何人か見つけて、その中で、通いやすさや料金、話しやすさを比べます。さがすの「エリア」から、近くのアーティストの作品を見比べられます。

ターティストが作品から探せる形にしている理由
ターティストは、アーティストの名前やスタジオの場所より先に、作品が目に入るように作っています。作風や部位から作品をたどって、気に入った作品からアーティストに会いに行ける。そういう選び方のほうが、入れたあとの「思っていたのとちがう」を減らせると考えているからです。後悔についての調査は「タトゥーは後悔する?」の記事にまとめています。
タトゥーは、入れた日から何十年も一緒に過ごすものです。少し遠くても、少し高くても、「この人の線が好き」と思えるアーティストに頼めたら、その時間はきっと気持ちのいいものになります。迷ったら、まずは作品をゆっくり見るところから始めてみてください。
よくある質問
- 安いスタジオは、やめたほうがいいですか?
- 安いこと自体が悪いわけではありません。理由を聞いて、作品と衛生の説明に納得できるかどうかで決めてみてください。無料で直せる期間など、料金に含まれるものもスタジオでちがいます。
- タトゥーの彫り師に、資格はありますか?
- 2020年の最高裁判所の決定で、医師免許は要らないとされました。2026年10月の時点で、彫り師だけの国の資格や免許の制度は見当たりませんでした。衛生については日本タトゥーイスト協会のガイドラインがあり、守っているかどうかはスタジオに聞いてかまいません。
- ほかのスタジオで入れたタトゥーを直してもらえますか?
- 続きやアレンジ、カバーアップを受けつけるスタジオがあります。できることは今のタトゥーの状態でちがうので、写真を見せて相談してみてください。
調べ方と出典(8件)
2026年10月に、最高裁判所の決定(令和2年9月16日)の全文、日本タトゥーイスト協会の衛生管理ガイドライン、アメリカ食品医薬品局(FDA)の案内、国内のタトゥースタジオの公式ページ(カバーアップ・他店のタトゥーの直し)を確かめて書きました。彫り師の資格制度がないことは、法律や公的機関の文書で「ない」と書かれたものは見つからず、決定の補足意見と、制度が見当たらないことから書いています。安いスタジオで問題が増えているかどうかを示す調査は見つからなかったため、数字は載せていません。法律の判断が必要なときは、専門家に相談してください。





